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目標未達なのに是正しない=不適合?

「目標未達」だからといって、ISO審査で「不適合」を受けることはない。
「パフォーマンス審査ではなくて、システム審査なんだから、それは当然でしょ?」と皆さん思いますよね。では、「目標未達なのに是正処置をしなかった場合」はいかがでしょうか?

5月に東京で開催された「第8回是正処置ワークショップ」(審査道無風流主催)で、この問題に対して興味深い議論が交わされましたのでご紹介しましょう。会話に出てくる人物で、Aさんは審査員として、その他の方々は組織側の人間として発言しています。


A:「みなさんの組織では、目標を達成しなかった時に、是正処置をやりますか?」

B:「品質目標の未達成というのは、自分たちで決めたことに対する不適合だから、うちでは当然是正処置の対象です」

C:「私の会社では、品質目標が達成できなかった時は『どうして達成できなかったのか?』という問いかけを是正処置の中でやっています」

D:「うちも目標未達は不適合にしています。目標未達が明らかになった場合は、何らかのアクションを起こします」

E:「私が以前いたゼネコンでは、品質目標でも環境目標でも、未達だからといって是正処置をかけたりはしませんでした。ですが、その部署のマネージャーが、問題の発生頻度や顧客への影響度の大きさなどを考慮して、「これは再発防止をかけないとまずい」と判断した場合は是正処置をかけます。ですから、目標未達だから何が何でも是正処置をかけるというわけではないのです」

C:「ISO 9001では『品質目標をずっと追いかけろ』というふうに(と要求しているように)読めるのではないですか」

B:「8.2.3から、そう考えることはできるのではないでしょうか。明確には書いていませんが。(「計画どおりの結果が達成できない場合には、適切に、修正及び是正処置をとらなければならない」 8.2.3から抜粋)」

A:「ISO 9001の5.4.1の『品質目標』には『達成度が判定可能』とは書いていますが、『達成度を判定しろ』とは書いていない。あるいは、5.6.1の『マネジメントレビューへのインプット』にすら、そう書いていない。『マネジメントレビュー
には、『経営者は目標達成度をみろ』とは書いていないのです」

F:「すると審査員は、目標未達に対して是正処置をやっていなくても不適合とはしないのですね」

A:「しないですね」
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テーマと合わないかもしれませんが、
私の勤務先の環境目標にCO2排出削減がありまして、京都議定書準拠の目標(1990年比)となっております。昨年度の目標は、秋までは到底達成できない状況でしたが、秋以降は不景気のため自然減で達成してしまいました。
そーりが、2005年比で15%減といってます。これに準拠した目標だと、現時点ですでに達成しています。

ところで、何もPDCAせずに目標達成は適合でしょうか!?

イソハドーグさんへ

確かに、生産の大幅減で、環境目標を早々と達成してしまった会社って、けっこう多いでしょうね。

実は、我が家では水道代が異常に高く、これは子どもたちが異常に時間をかけてシャワーを浴びることが原因ではないかと考え、シャワー時間を減らすことで水道代を2割減にすることを目標に掲げていたのですが、次男が大学寮に入ることで、家でPDCAをせずに勝手に2割減が達成できてしまいました。これは子どもの環境教育上、良くなかったですねえ。

結論として不適合にしないとしていますが、状況によっては不適合にすべきではないでしょうか。
5.4.1や5.6.1を引合にされていますが、ISOの本質から言えば、
5.4.1で判定可能=判定できるようにすることを求めている
        →判定できるものは判定しなさい
と解釈すべきではないでしょうか。
判定しろと書いてないというのは、言い過ぎと思います。
(判定しないのであれば、、判定可能であることを求める必然性がない)
8.2.3を引合に、適切に処置されているか否かを、重要度に応じて判断すべきと思います。

この見解について、ご意見をお聞かせください。

中嶋さん、こんにちは

中尾さんの日記の「B」です ^^

ですから、私の立場は「目標未達成は是正対象」ですが …

>結論として不適合にしないとしていますが、状況によっては不適合にすべきではないでしょうか。

結論は「不適合にしない」ということではないと理解しています。まさに、中嶋さんが仰っている「状況によって」でしょう

だから、ここで深めるべきは「どのような状況であれば」と言うことなのだと思います。

ご存知かもしれませんが、ISO14001では「品質目標」に相当するものとして「環境目的」が要求されていますが、ISO14001の場合は、この「目的」を具体的な「目標」及び「実施計画」にブレークダウンすることが要求されています。

で、仮に、ある組織で品質目標として設定されているものが、ここでいう環境目的のような内容(例えば一定の中長期的にめざすゴールを示すもの)であって、

それは「測定可能」ではあるけれど、現実的な組織運営としてはそれがブレークダウンされたあれこれのプログラムが実行され、監視・測定・是正されている … というような場合も想定できなくは内容に思います。

>5.4.1で判定可能=判定できるようにすることを求めている
>        →判定できるものは判定しなさい
>と解釈すべきではないでしょうか。

仰るとおりでしょうね。判定する必要が無いなら「判定可能性」などは不要でしょう。で … ここでの問題は、誰が・何のために・どのように判定するのか、そしてそのことが規格に具体的に要求されているのか、だと思います。

>判定しろと書いてないというのは、言い過ぎと思います。

従って、ここの「判定しろと書いていない」と言う意味は、「測定して結果が未達成なら是正プロセスの対象にせよという要求事項はない」というような意味だと(私は)理解しています。

「5.6.1の『マネジメントレビューへのインプット』にすら、そう書いていない」(=トップへの報告事項にせよという要求事項も無い)というのと同じような主旨でしょう。

さて、これについても

「5.6.2 マネジメントレビューへのインプット」のC項に「プロセスの成果を含む実施状況及び製品の適合性」が要求されており、

「8.2.3 プロセスの監視及び測定」では、監視測定の方法が「プロセスが計画どおりの結果を達成する能力があることを実証するもの」であることを求めていますから

品質目標の未達成が「プロセスが計画どおりの結果を達成する能力」に関るようなものであれば、マネジメントレビューのインプット対象ともなるでしょうし、当然、そのための測定が求められるでしょう。

繰り返しになりますが、私(「B」)の立場は、品質目標とはプロセスの監視測定の対象であり、マネジメントレビューのインプット事項であり、未達成は修正~是正の対象であるというものですが

それは、わが組織が「そのような品質目標を設定しているから」ともいえるわけです … しかし、「品質目標とは、その達成状況がプロセスの監視測定で点検され、未達成の場合は是正の対象となるものでなければならない」という要求事項があるか … と言うように問題を立てるなら、それは規格の読み込みすぎではないでしょうか。

家元こと日吉信晴です。

中嶋さん、こんにちは。
あえて実名で意見交換させていただきます。

規格の使用者はまずは「組織」です。
規格は何らかの事情で肝心なことが書かれていない、
ということもあります。

本質とか解釈ではなく、組織が規格適用に際して「穴を埋めて」いれば、適切とか重要度といった主観的な言葉を操らなくても、
不適合の指摘は可能です。

つまり、すでにコメントされている「B」さんのところへ
審査に行ったら、指摘しますね。
指摘根拠が明確にできますから。

ところで、ご興味があればワークショップへお越しになりませんか?

中嶋さん、こんにちは。
家元こと日吉信晴のパトナー&専任エディターもやっている、師範こと奥村朋子です。

今回の日吉の投稿は、簡潔すぎて、意図が伝わらない可能性があるので、補足させていただきますね。
「B」さんが、適切な解説をしてくださっているので、これだけしか書いていないのだろと思いますが、それにしても簡潔すぎますねぇ・・・。

「日吉Wrote;
 規格の使用者はまずは「組織」です。
 規格は何らかの事情で肝心なことが書かれていない、
 ということもあります。

 本質とか解釈ではなく、組織が規格適用に際して「穴を埋めて」
 いれば、適切とか重要度といった主観的な言葉を操らなくても、
 不適合の指摘は可能です。」

規格に書かれていることをどのように、実務に適用し展開するのかは、それを導入しようとしている各組織が決めることであり、審査員がこうあるべきと決めることではないということが前提に有ります。
また、規格には、何をしなさいとは書かれていますが、それをどのようにやるのか?というHow toについては、内部監査以外の要求事項には書かれていません。
この書かれていない部分について、各組織がどうするのかを決めていれば、規格の解釈や本質などという議論をせずとも指摘することは可能です。
しかしながら、決めていない場合に、規格の解釈や本質論を持ち出して不適合の指摘をすることは、しません。

と、言うことです。
私も、同じ意見です。

実際の審査の中では、当然のことながら当該組織の目標管理に関する「実態」を様々な角度から確認します。念のため。

中嶋秀行さん ご意見ありがとうございます。
え"…iso??さん、日吉信晴さん、奥村朋子さん 中嶋さんに対するレスポンスありがとうございます。

「アイソス」誌面に掲載される「アイソス日記」の記事はたいてい平和な内容が多いので、あまり物議をかもすこともないのですが、この記事だけは違いました。久々のアタリでした。

ISO 9001を審査スペックとして読み、どこまでが本当に規格で要求されているかを審査員が厳密に語り出すと、自分が気負っている時は、そんなにおもしろい話ではないし、むしろ拍子抜けしたりします。でも、その要求事項の愛想のなさを踏まえた上で、「規格がそこまで要求していないのは分かってるけどさ、でも、あえてウチはやることにしたよ」っていう組織もあって、「ああ、一皮むけてるなあ」と思うのです。

奥村です。
今日は、第三者認証審査員の視点を離れて。

ISO9001モデルを導入し、本気で良い成果のための活動をしている組織なのか、形だけの組織なのかが、ハッキリとわかるのが、実は目標の設定とその達成施策の関係ではないでしょうか。

目標に何を置くかは、ISO9001では言及されていません。
ここで、多くの組織であまり読み込んでいないと感じている、ISO9004(品質マネジメント パフォーマンス改善の指針)に目を移すと、How toに近いものが書かれており、一方で本気で活動したくない組織にとっては、はた迷惑な内容が書かれています。
ただし、ISO9004は第三者認証審査の監査基準ではありませんので、これを持ち出して不適合云々を語ることはできません。

到達したい目標として何をどのようにどの程度に設定し、どうやってそれを達成するのかを計画し、実行するのかは、そこに到達したい側が考えることです。

では、この辺で失礼します。

Eです。(もとゼネコン 土木屋です。)

目標管理プロセスと是正処置について

土木屋としての結論は、以下のとおりです。
「目標未達の場合、是正処置を実施するかどうかは、企業の判断に委ねられる。」

企業が、マネジメントシステムの中で、
目標管理プロセスをどう位置づけ
どうのような管理手順(ルール)を定めるかによります。


8.2.3. プロセスの監視及び測定にて、 
「~計画どおりの結果が達成できない場合には、適切に修正及び
是正処置をとらなければならない」 ことになっていますから、
基本的には不適合ですよね!

しかし、目標の達成度の判定方法が、
達成できたかできなかったではなく
達成率(%)であった場合、
是正処置を実施するボーダーラインを
一律に決めることが可能でしょうか?
無理です。たとえ80%の達成率であっても、
再発防止処置が必要なこともあれば、
50%の達成率であっても、
再発防止処置が必要ない場合もあります。

また、目標管理については、以下のような問題点もありました。
①外部環境の変化で、目標が達成できたり、できなかったりする。
②単品受注生産の場合、プロジェクト単位での目標未達に対して
再発防止処置を実施してもあまり意味がない場合が多い。
(他のプロジェクトの予防処置の情報提供にはなります。)
③管理部門の目標は、会社の事業計画と関連しており、
継続性のない目標があります。
(トップの一言で目標が変わります。)


「~計画どおりの結果が達成できない場合」を
どのように設定するかは、企業の考え方
(企業の定めたルール)によりますよね!

たとえば、「内部監査にて目標未達を一律不適合とする」
と社内規定を定めれば、
必要な処置及び是正処置すべてを実施する必要が発生します。(8.2.2.参照)

土木屋がかつて在籍した会社では、目標未達の場合も含め、
再発防止処置の実施は、各部門長の判断や場合によっては、
管理責任者の指導に任せていました。
社内のルールが曖昧?だったこともあり、
約9年の間、某審査機関から、
目標未達で不適合なり指導を頂いたことはありませんでした!

目標管理については、達成できたとかできないとかではなく
(適合・不適合ではなく)、
結果に至るプロセスや外部環境の変化等を考慮にいれた、
評価及び評価後の必要な処置を実施する枠組が
必要だと考えています。

Eさん、ご回答ありがとうございました。

Eさんは、記事の登場人物の中で、目標未達でも是正処置をしない場合もあるという立場を取った唯一の受審組織側の方でした。

「D」の鈴木信吾です。

私の勤務先の場合、目標未達の場合不適合とし、
「何らかのアクション(処置)」をするよう定めています。

この意図は、仕事を「やりっぱなし」にしない、ということです。

目標達成ができればそれに越したことはない、
ということで良しとする場合が多いのかもしれませんが、
「いい仕事」を追求する上では、
その仕事の結果が達成/未達という「現象」よりも、
その仕事(プロセス)の評価と「次の一手」へのつながりが
重要と考えるからです。

例えば、不良廃却ゼロを目標とした場合、
前年度比97%減という華々しい成果を達成できたとしても
不良廃却はゼロではないかもしれません。

このような「願望目標」の場合、
目標値と実績の比較という機械的な「数字」よりも
その仕事(プロセス)の責任者の「評価」が重要な場合もある
ということもあります。

その仕事の管理・監督をするマネジャーが、
その仕事の結果を「評価」する力量があるのか?!
という問題に発展する場合もあるかもしれませんね。

Dの鈴木信吾さん、コメントありがとうございました。

「願望目標」の場合は、マネージャーの評価の力量が問われるとのこと。
この点は、無風流主催の是正処置WSがこれから取り組もうとしている監査員の力量判定にもつながる話ですね。

「D」の鈴木さんへ

「G」のGAIです(居ないって(^^ゞ)

> 私の勤務先の場合、目標未達の場合不適合とし、
> 「何らかのアクション(処置)」をするよう定めています。
>
> この意図は、仕事を「やりっぱなし」にしない、ということです。

この場合,規格で言う「不適合や是正処置」にそのまま当てはめて考えるのはどうかなという気がしました。まあ,是正処置プロセスには「処置の必要性の評価」もあるわけですから,これが「何らかのアクション(処置)」ということであれば,是正処置プロセスに乗っかっていると言えるんでしょうが,はたして「目標未達=不適合(規格で言うところの)」で括ってしまってもよいものなんでしょうか?
というのも,

> 「いい仕事」を追求する上では、
> その仕事の結果が達成/未達という「現象」よりも、
> その仕事(プロセス)の評価と「次の一手」へのつながりが
> 重要と考えるからです。

であるなら尚のこと,「目標未達=不適合(規格で言うところの)」が意味をなさないように思えます。

> 例えば、不良廃却ゼロを目標とした場合、
> 前年度比97%減という華々しい成果を達成できたとしても
> 不良廃却はゼロではないかもしれません。
>
> このような「願望目標」の場合、
> 目標値と実績の比較という機械的な「数字」よりも
> その仕事(プロセス)の責任者の「評価」が重要な場合もある
> ということもあります。

ということで考え方は明白ですよね。
 ・不良廃却ゼロという願望を持って目標を設定した
 ・活動の結果,前年度比97%減という華々しい成果を達成できた
に対し,目標値と実績を比較して「ゼロではないから云々」は不毛で,そのプロセス(のマネジメント能力)の評価が重要ということでしょ。

あとは,「願望目標」が「誰の願望」かということでしょう。
少なくとも顧客ではなく,「組織の願望」なのではないでしょうか。
であるなら,その判断(判定)基準も「組織の勝手」となるわけで,たとえその願望が達成できてもできなくても,直接的には「組織の満足」の話ですよね。つまり,顧客に対する品質保証や顧客満足(QA)に対して,適合/不適合なる直接的な関係のある話ではない,そしてそれは,できたとこ勝負である効率性の(QMの)話である,と。
こういった部分に対し,QA要求の規格から来る「不適合や是正処置」にそのまま当てはめるのは組織の勝手ではあるけども,少なくとも第三者審査での対象ではないし,規格の意図する「不適合」でもなさそうです。よって,規格の意図する「是正処置」にも直接入ってこないんじゃないかな(入れるのは勝手だけど)という気がします。この辺り,ISO/TS16949と違ってISO9001は無秩序なんで,判断しにくいところではありますが。


> その仕事の管理・監督をするマネジャーが、
> その仕事の結果を「評価」する力量があるのか?!
> という問題に発展する場合もあるかもしれませんね。

やっぱりQMの話ですね。「製品要求事項への適合に影響する仕事」とは切り口が違うと。
なので上記の「願望目標」の場合,

> 目標達成ができればそれに越したことはない、
> ということで良しとする場合が多いのかもしれませんが、

ふつう,そうなるでしょう。それに対して「結果的に何もしない」としていても,それだけで「不適合(規格で言うところの)」に直接持っていく話でもないと思います。願望目標に向けた活動の評価がされて,その結果,「不良廃却ゼロに対し前年度比97%減であったが,これでヨシとする(何もしない)」ということを,その組織の責任者なりマネジメントが判断したのなら,それに対して「不適合(規格で言うところの)」とするのはちょっと違うんじゃないかな,という気がします。
「願望目標」なり「努力目標」なり呼び方はいろいろあるけれど,組織の効率性を目的とした目標はISO9001でいうところの「品質目標」が意図するものとは違うんじゃないかな。
(少なくとも第三者審査員が何か言えるようなものでは決してない)

「D」の信吾です。

GAIさんの分析に対して特に異論はありません。

先の私の見解は、QM(品質)、環境、安全衛生などなどのマネジメントも含めた視点からの意見です。

カイシャの活動には、QA、QM、組織学習、人材育成などイロイロな要素があるので、活動の評価と処置についても、目的に応じたイロイロな手段で構成する、というのが現実的ではないか、と思う次第です。

例えば、品質マネジメントシステムについては、QAについては第三者審査で、QMについては内部監査で、評価するといった役割分担。(日本型企業の場合は、QM全体については、経営トップが直接「監査」というのもアリとも感じてます)

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このブログ記事について

このページは、中尾優作が2009年6月11日 11:28に書いたブログ記事です。

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